再生医療現場レポート
-
CHAPTER 01再生医療とは「細胞治療」
-
CHAPTER 02整形外科の再生医療とは
-
CHAPTER 03PRP(多血小板血漿)療法とは
-
CHAPTER 04整形外科分野の再生医療の今後の展望
-
今、各分野で注目されている「再生医療」は、整形外科の分野でも大きな期待が寄せられています。そこで、再生医療とはそもそも何なのか、整形外科の分野ではどのような再生医療が受けられるのかなどについて、筑波大学整形外科准教授として、再生医療の基礎研究とともに、実際に患者さんの診察・治療にも取り組まれている吉岡友和先生にお話をうかがいました。
今、再生医療が注目されています。そもそも再生医療とは何ですか?再生医療とは、トカゲのしっぽをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。トカゲは外敵に襲われると、自分のからだの一部であるしっぽを切って逃げますが、同じようにまた生えてきます。生物の世界では、このような現象を「再生」と言い、人間にも備わっている能力です。しかし、残念ながら、人間のすべての組織や臓器が髪や爪のように自然に再生するわけではありません。そこで、障害を受けた組織や臓器を元どおりの機能や形へと再生に導くために、人為的に加工した細胞を用いて治癒を目指すのが再生医療です。マスコミなどでよく報道されている再生医療は、「細胞治療」のことを指しています。
「細胞治療」は、どのくらい進歩しているのですか?人間の体には臓器や皮膚、血液といった組織を構成している「体細胞」のほかに、これから色々な組織や臓器になれる未分化な細胞があります。人間の体内の様々な場所にあるこのような細胞は「体性幹細胞」と呼ばれており、1970年頃に骨髄の中からはじめて発見されました。
また、人間の受精卵(胚)から培養してつくられる「ES細胞」や、京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが「iPS細胞」の作製に成功し、細胞治療としての実用化に向けて様々な研究が進められています。安全性という点ではどうなのでしょうか?日本では、2014年11月より、再生医療等の安全性確保等に関する法律(以下、再生医療法)が施行され、再生医療を実施するには国が定めた基準を満たし、届け出を行わなければならなくなりました。それまで再生医療には規制がなく、医療機関が自由に診療を行っており、一部で重大なトラブルも起きていました。また、いろいろな細胞や組織に分化したり、増殖能力の高い未分化な幹細胞ほど、ガン化したり意図したのとは別の組織に分化するリスクもあるわけです。再生医療法では、そうしたリスクの高さによって第1種~第3種に分けて基準が設けられています。患者さんにとって最も大切な安心・安全の確保は進んでいると思います。
※厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」概要資料をもとに関節ライフが作成
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう