再生医療現場レポート
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変形性膝関節症に悩んでいる方が多くいらっしゃいますが、APS療法を考えた方が良いタイミングはありますか?
変形性膝関節症だから、いきなりAPS療法ではなく、まずは標準的な治療を受けるべきだと思います。運動療法など手術以外の方法を継続することで、関節の変形が治るわけではありませんが、痛みが改善される方も多くいらっしゃいます。
しかし治療を続けても痛みの改善効果に満足していない場合などにAPS療法を考えてみても良いのではないでしょうか。その際、できれば手術適応になる少し前の段階までに検討したほうが良いのではないかと思います。けれども手術が適応とされているような場合でも、APS療法を行うことで、手術を受けるタイミングを遅らせる効果が期待できるかもしれません。APS療法の流れを教えてください治療の流れ
治療当日は患者さんの血液を約55cc採取し、それを専用のキットに入れて遠心分離器にかけ、まずはPRPを抽出します。このPRPを別のキットに入れてさらに遠心分離し、抽出されたAPSを患者さんの関節内に注射します。
治療時間は採血から注射まで約1時間ですが、投与後1週間くらいは膝が重い、腫れぼったい、突っ張るといった症状がみられることもありますが、少し安静にしていれば問題ない程度の人がほとんどのようです。痛みが強くても、炎症を抑える鎮痛剤などを服用するとAPS療法の効果も抑えてしまう可能性があるため、患部のアイシングなどで対応するか、主治医に相談して適切な薬を処方してもらうようにしましょう。APS療法が向いていない方もいるのですか?関節鏡視下手術
リウマチなど、全身性の炎症疾患を持つ方やがん治療を行っている方にはこの治療は向いていないとされています。
変形性関節症の場合でも、関節の変形があまりにも進行している方には効果が期待し難いといわれているので、やはり人工関節などの手術のほうが適応ではないかと思います。また、例えば、膝に痛みがあっても、原因が半月板などの場合は、関節鏡視下手術などの治療をするほうが効果的なケースが多々ありますので、適応をきちんと見分けることも大切になります。
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