再生医療現場レポート
-
APS療法は、どのような方に適した治療だと思いますか?
個人差があるので一概には言えませんが、変形性膝関節症では、軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいる場合よりも、まだ軽度な状態の患者さんで効果が期待しやすいといわれています。骨の変形を直すものではないですが、「軟骨があるうちに受ける」というのが大事なポイントではないかと思います。
また、手術以外の方法を色々試したけれど痛みが改善しない、しかし手術には踏み切れないという方、手術適応といわれてはいるけど、家庭や仕事の都合で入院を伴う手術は受けられないという方もいるでしょう。様々な理由から、「頼みの綱でAPS療法を受けてみたい」、「効果は期待できないかもしれないが、それでも一度、可能性を試したい」と治療を検討される場合もあるかもしれません。膝の痛みが軽減してからも行ったほうが良いことはありますか?痛みが軽減しても運動療法や体重のコントロールは、ぜひ継続して行ってください。今まで膝の痛みが強くて運動しようにもできなかった方も多いと思います。膝が痛いから動けない、動けないから体重が増えてさらに膝に負担がかかる―そんな悪循環に陥っていたのではないでしょうか。積極的に動くことで足の筋力が強化されれば膝の安定性が高まり、さらに外出や運動が気兼ねなく行えるようになるでしょう。
痛みが軽減してからも上記の内容や医師の指示を守って、痛みで制限されていた趣味や日常生活が行えるようになることを目標にしていきましょう。膝の痛みに悩んでいる方へメッセージをお願い致します。痛みが長期間続くことが原因で、膝だけでなく精神にも大きな影響があらわれることがあります。「痛みの過度ながまん」が原因で、精神に影響がでることで、日常生活の質(QOL)の低下や家庭や職場での活動も困難になることがあります。変形性関節症は適切に対応すれば、「痛み」などのつらい症状を和らげることができます。また、痛みが和らぐということは、制限されていた日常生活や家庭、職場での活動の改善だけでなく、ご自身の心の改善にもつながっていくと思います。
膝の痛みに悩んでいる方にはまず、ご自身の膝についてトータルに考えてくれる、信頼できる主治医を見つけてほしいと思います。APS療法をはじめとする再生医療は今日期待が高まる治療法ではありますが、保存療法や手術を含めた幅広い選択肢を提供している医療機関であれば、家庭や仕事などのライフステージも踏まえ、長期的な視点から治療を提案できるでしょう。今のご自身の膝の状態を客観的に調べて、適切なタイミングと方法で受けることが大切です。
痛みはがまんせずに、APS療法を含め、さまざまな治療の可能性を検討し、ご自身にあった治療で活動的な人生を取り戻して欲しいと思います。
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう