再生医療現場レポート
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スポーツなどに早く復帰することは可能なのでしょうか?
自己の血液中の機能を利用した治療法であり、早くプロスポーツや部活動の現場に復帰できる可能性は考えられます。しかし、修復を早めたものの、そこで無理をして再び悪化させてしまっては、治療に余計な時間がかかる場合や、現場復帰を諦めないといけない状態になるかもしれません。状況によっては、きちんと手術をしてリハビリテーションを行い、時間をかけて復帰を目指すことも選択肢のひとつです。
そのため、今後のことをしっかり考え、ご家族とも十分に相談し、どの治療が適切なのかを医師と一緒にしっかりと判断していくことが重要です。一方で、プロアスリートの方が、どうしても今シーズンだけはプレーしたいという強い希望があれば、この限りではなく可能性にかけてみることもあります。それぞれの方が抱えている状態によって、どのような治療を行ったほうが良いか、納得のいく治療を選択していただきたいと思います。治療を受ける際に知っておいたほうが良いことはありますか?PRP療法やAPS療法は、再生医療法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)に基づき、厚生労働省に届け出が受理された医療機関でのみ行える治療で、現在のところ、まだ限られた施設でしか実施されていません。
費用については、健康保険が適用されない自由診療のため、実際に採血し治療する日は全額自己負担となります。そのため遠方から来院される様な特殊な場合を除き、事前に一度は来院して頂き、医療保険を使用した診察や検査などを行い、治療の適応が本当にあるかの判断を行います。また、全ての方に治療を行えるわけではなく、がんを治療中の方やリウマチなどの全身性免疫疾患がある方、感染症の疑いがある方など、医師が不適当と判断した場合は受けられません。
効果については一回の注射で痛みが最大3年間軽減されたという報告がある一方で、2~3割の方には効果が認められなかったという海外のデータもあり、効果には個人差があること、また効果があった場合でも、将来必ず手術を回避できるものではないということは知っておいていただきたいです。治療後に気をつけたほうが良いことはありますか?治療に用いるのは患者さん自身の血液なので、アレルギー反応や感染症などの心配はほとんどありませんが、治療後2週間程度は、一過性の痛みや腫れ、熱感が起こることがあります。これは一般的に組織修復に必要な痛みとされていますが、もし症状が出た場合はアイシングなどを行い、これを助長しないようあまり無理に動かないようにするとともに、激しい運動は控えてください。治療後の反応によっては、車の運転などを控えたほうが良い場合があるので、治療日はできるだけ家族の方にご同伴いただき、帰りの車の運転などをお願いしたほうが望ましいと思います。
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