再生医療現場レポート
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CHAPTER 01患者さん自身の血液を使った再生医療とは
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CHAPTER 02適切な治療へ進むためにご自身の状態をよく知ることが大切
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CHAPTER 03APS療法で期待できる効果と治療後の過ごしかた
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どのくらいの効果や持続を期待することができますか?
APS療法による反応は比較的ゆっくりで、注射したその日から急激に良くなるというものではありません。早ければ数日後から徐々に痛みが和らぐなど違いを感じるようになり、1週間後の検診時にはかなり楽になったとおっしゃる方も少なくありません。個人差が大きいため、効果が現れるまで1、2カ月など要する方もいます。
持続性についてもやはり患者さんそれぞれです。APS療法は日本では2018年から使用開始となりましたが、1年以上経った今も調子が良いという方がいれば、半年ぐらいで元に戻ってきたので再度受けたいという方もいます。治療前の進行度合や、治療後の関節の使いかたにもよるのが実際のところです。
PRP療法・APS療法を繰り返し受けることは、格別問題ありません。1回目を受けてしばらく時間が経ち、少し痛みが戻りかけた頃に2回目を受けることで、1回目より効果を感じる方もいます。治療後の生活で注意することはありますか?APS療法では、治療後に注射した部分が腫れたり、熱を持ったりすることがあります。これは体内で炎症性のタンパク質とAPS療法で注入した抗炎症性のタンパク質が反応して起こるものだと考えられます。痛む場合は、基本的にはアイシング(冷やすこと)で対応します。我慢できないような痛みを感じる方はまれですが、あまりにつらい場合は痛み止めを処方することもあります。炎症を抑え込むような消炎鎮痛剤は、APS注入前と同じく避けるようにします。
その他、特別気を配るようなことはなく、治療後は通常通り暮らしていただいて大丈夫です。一週間程度はあまり無理をせず、急に激しい運動をしたりするのは控えるようにします。反対に、活動量を落としてじっとしている必要もなく、いつも通りの生活を送りながら様子をみるようにしましょう。PRP療法やAPS療法を検討している患者さんにメッセージをお願いします患者さんの症状や、治療への考えかた、家庭や仕事を取り巻く状況はそれぞれ異なる中、治療の幅を広げられるこうした再生医療が進歩してきたことは、良いことだと思います。ただしPRP療法やAPS療法で良い結果を得られたという方もおられますが、必ずしも再生医療がすべてのケースで適切な選択ではありません。変形性関節症においても、保存療法だけで十分な方もいれば、最終的にやはり手術が必要になる方もいます。大切なのは「一人ひとりに合った治療」です。そのような意味で、まずは、今のご自身の状態がどうなのかを専門医に診てもらい、どういった治療方法があるのかをしっかり相談されることをお勧めします。
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