再生医療現場レポート
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CHAPTER 01PRP(多血小板血漿)療法とAPS(自己タンパク質溶液)療法の違い
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CHAPTER 02痛みの原因をよく調べてから治療法の選択を
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CHAPTER 03APS療法と治療後の注意点
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どのような症状の方がAPS療法を受けているのですか?
ヒアルロン酸注射
変形性関節症の中でも、特に変形性膝関節症による方が多い印象です。痛み止めの内服薬やヒアルロン酸の関節内注射などの保存的治療を長期間受けてきたけれど、どうにも痛みが改善せず、何ヶ月も、あるいは年単位で痛みに苦しんでいる、また人工膝関節置換術などの手術に抵抗感のある方は、APS療法を考えてみる価値はあると思います。
APS療法は体に負担の少ない治療法なので、特に年齢は関係なく、高齢であっても受けることができます。80代後半~90代の超高齢で手術を受けるには重篤な合併症がある方、また、膝の痛みで歩けずこのままでは寝たきりになってしまうが、体力が心配という方にも向いていると思います。効果はどれくらいで現れますか?APS療法は、国内では2018年から国に届出が受理された医療機関でのみ受けられるようになったばかりの治療法なので、治療効果については長期データがなく、これから様々なことがわかってくるという段階にあります。実際には、やはり変形性関節症の炎症による痛みが強い場合に効果を実感される患者さんが多いという印象があります。効果が出てくるのは、人それぞれです。早い人だと2週間くらいで良い反応があらわれるケースもありますが、ほとんどの方は、注入後3か月目くらいから痛みの改善を感じ始めることが多いようです。APS療法に対して即効性を期待される患者さんも少なくありませんが、ご自身の自然治癒力が高まるまで2、3か月は必要です。その間は痛みがある可能性もあります。
治療を受けるのに知っておいたほうが良いことはありますか?PRP療法・APS療法は、現在のところ有効性はまだ検討段階であるため、保険適用になっておらず、患者さんが治療費を全額負担する自由診療になります。価格は医療機関によって異なるため、事前に調べると良いでしょう。
また、ご自身がAPS療法の適応なのかどうか医師とよく相談して決断されることをお勧めします。状態によっては保存療法で改善を目指せる場合もありますし、また、軟骨が完全にすり減り、変形や破壊が進んで痛みがひどいような重度の変形性関節症の場合は、年齢に関係なく手術が適している場合もあります。もちろん、超高齢で手術を受けるのが難しい場合には、除痛効果を期待してAPS療法を受けることも可能です。
大切なのは、適切な治療法を選択するために、受診をしてご自身の状態をしっかり知ることだと思います。どの治療法になったとしても、ご自身が納得された上で決断することで、前向きに治療に取り組むことができるはずです。変形性膝関節症5段階
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