再生医療現場レポート
変形性関節症で注目される再生医療
APS療法は新たな治療選択として期待
ドクタープロフィール
平成11年 東京医科歯科大学卒
専門分野:股関節外科、脊椎脊髄外科、リウマチ外科、救急外傷外科
専門医:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本病院総合診療医学会専門医
所属学会:日本整形外科学会、日本股関節学会、日本脊椎脊髄病学会、日本救急医学会、日本リウマチ学会、日本リハビリテーション医学会、日本人工関節学会、日本病院総合診療医学会
エリア
沖縄県
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どのような状況の場合に、APS療法を受けると良いですか?
膝の水を抜いている様子
(関節穿刺)まだ関節の変形が初期段階の場合は、痛み止めの薬や注射、リハビリなどで改善が期待できますが、かなり変形が進んでいる場合には、APS療法による改善があまり期待できないため、手術のほうが良いかと思います。もちろん、どの治療法を選ぶかは最終的には患者さんご自身が決めます。
そのためAPS療法を受けるタイミングは、レントゲンの画像所見でいえば、関節の変形が10段階のうち3~7段階くらいが適切な時期と考えますが、画像上の所見だけでなく、実際に患部を触った感じ、患者さんの痛みの程度など、さまざまな情報を総合的に判断して治療のタイミングを判断したほうがよいでしょう。
関節を包み込む関節包という組織の内側に滑膜という組織があります。この滑膜は潤滑油の役割をする滑液を作り出すのですが、関節内の炎症などにより滑液が異常に増えることがあります。これが膝に水がたまるという状態です。APS療法には関節内の炎症バランスを整える作用も期待されていますので、定期的に水を抜くことを繰り返している方は、治療を検討してみても良いのではないでしょうか。PRP・APS療法を行うには認可がいるのですか?再生医療は、厚生労働省が定める再生医療法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)により、リスクに応じて1種、2種、3種と3段階に分けられています。関節外に行う治療法の場合は第3種に、関節内に行う治療法の場合は第2種に分類されています。このようにPRP療法やAPS療法を行うには厚生労働省の認可を受けた施設のみで治療を行うことができます。
またPRP・APS療法は、患者さん自身の血液を使用するので、比較的安全性の高い再生医療といえます。
PRP・APS療法を受ける際に、知っておいた方が良いことはありますか?現在のところ保険診療としては認められておらず、自由治療になるため費用が全額自己負担となります。また治療の歴史はまだまだ浅く、その治療効果には個人差があり万能の治療ではないということです。
治療は採血と注射のみで終わるため、入院の必要がなく日帰りで行えます。ただし治療後の数日間は、患部に腫れや痛みが出ることがあります。痛みの感じ方は個人差がありますが、腫れが強い場合は、しっかり冷やしたり、湿布薬や痛み止め薬などを併用し安静にすることをおすすめします。
実は私自身、昔から両膝が悪く痛みがあるため、まずは右膝にAPS療法を試してみました。注射した翌日に痛みはありましたが、何とか我慢できる程度だったので、普段通りに仕事をしていました。
PRP療法・APS療法を受けたからそれで終わりではありません。医師と相談しながらリハビリなどを続けることをおすすめします。筋力をつけることで関節への負担が軽減し、より効果的だと思います。
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