再生医療現場レポート
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APS療法の効果はすぐ表れるのでしょうか?
早い方では1週間で効果が表れたというケースもありますが、3カ月~6カ月で症状の改善を実感することが多いようです。効果の持続期間は一般的に約1年といわれていますが、1年以上持続しているケースも報告されています。身体への侵襲が小さいため高齢者でも治療を受けることが可能で、特に年齢制限などはありません。効果を実感できた方で、ある程度の期間を経て痛みが再発した場合は、再度治療を行うことも可能です。
ただし、「あまり効果が実感できない」「数カ月で痛みが再発した」という方がズルズルと治療を繰り返すことはお勧めできません。治療後や日常生活の留意点を教えてください治療後、約6割の方に腫れや痛みなどの症状が出るといわれています。通常、1週間程度でおさまりますが、腫れや痛みが軽減するのであれば患部を冷やして対応するようにしてください。痛みを抑えようと、消炎作用のある鎮痛剤を使用すると効果が低減する可能性があります。そのような場合は、アセトアミノフェンなど抗炎症作用のない鎮痛剤を使用するようにしましょう。また、痛みが取れたからといって急に活動性を上げるのは禁物です。治療後約2週間は、治療前より膝関節に負荷をかけないようにしてください。ただし、2週間じっとしていては筋肉が痩せたり、関節が硬くなってしまいますので、痛みが出ない程度のストレッチや筋力トレーニングは必要です。最初の2週間は、関節を動かさずに筋力を鍛えることのできるトレーニング(等尺性訓練)を行うことをお勧めします。例えば、仰向けの姿勢で膝の裏に枕状のものを置き、膝を下に押し付ける訓練は、関節を動かさなくても筋肉が緊張し、刺激が加わるのでいい筋力トレーニングになります。膝の状態を良好に保つためには、APS療法後もリハビリを継続していくことが不可欠です。患者さん個々の状態に応じたトレーニング法を担当医に指導してもらうといいでしょう。
動画で見る膝関節トレーニングは下記ご覧ください。
APS療法に関心をお持ちの方にアドバイスをお願いしますつらい膝の痛みを何とかして和らげたいと思っていらっしゃる方にとって、自由診療とはいえ、APS療法という新たな選択肢が増えたことは喜ばしいことだと思います。
ただし、APS療法はあくまでも炎症を抑制することが期待されている治療であり、軟骨が再生して元の膝に戻るようなものではありません。人によっては期待したほどの効果が得られないこともありますし、持病などによって治療を受けられないケースもあります。また、必ずしも生涯手術を受けなくて済むというわけではなく、定期的な経過観察を行っていく中で、手術のほうが適切だと判断される状態になった時は、手術をお勧めすることもあります。膝の痛みを改善するさまざまな方法があります。膝の痛みを一人で悩まず、悩みや分からないことなど何でも専門医に相談し、ご自身で納得した適切な治療法を選択していただきたいと思います。
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