再生医療現場レポート
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どのようなタイミングでAPS療法を受けたほうが良いと思いますか?
APS療法はあくまでも「炎症を抑える効果」を期待する治療であり、すり減った軟骨を元に戻すような若返りの治療ではありません。そのため、変形性関節症に対する保存療法を続けても、ご本人が希望されているような効果を感じられないという方や、手術にはまだ少し早いが「なんとかこの痛みを軽減したい」という方などに適しているのではないでしょうか。変形の程度としては、2(初期)から3(進行期)の方に効果がでる可能性が高いという調査結果があります。4(末期)の方については、手術による治療が推奨されていますが、他の病気などで安全に手術が受けられない方や、どうしても手術を躊躇される方については、チャレンジしてみる価値があるかもしれません。一定の割合の人には効果があったという報告もあるようです。ただし、APS療法は、炎症を抑える治療ですので、経年的に軟骨のすり減りが進行していけば、将来的に手術が必要になることはあると思います。
変形性膝関節症5段階
治療後の生活はどういうものになりますか?投与後2週間程度は、激しい運動などは避けていただきますが、日常生活動作の制限は特にありません。
痛みやこわばりが出た場合も自然に落ち着いていくものなので、アイシングなどで対応できるものがほとんどです。日常的に消炎鎮痛剤を使っている方は、薬の中にAPSの効果に必要な血小板の働きを抑えるものが含まれている場合もあるため、事前にどうような薬を服用しているか担当医師に伝えることも大切です。最後に再生療法を受けたいと考えている患者さんにメッセージをお願いします。PRP療法、APS療法は、損傷した組織の修復や傷みを抑制する効果が期待されている再生医療です。
効果や副作用も個人差があり、かつ、自由診療のため一般の保険適用の治療よりも負担額が高額となります。「すり減った軟骨が元に戻るかも」「痛みがすべて消えてしまうかも」といった過度な期待を持つのではなく、そのメカニズムをご理解頂いたうえで、治療の選択肢の一つと考えていただければと思います。
関節が痛くて動けなくなると筋力が極度に低下する状態(サルコペニア)になり、よりいっそう動けなくなるという悪循環に陥ってしまうこともあり、また関節疾患は、要支援や要介護の原因にもなる疾患です。
「我慢は美徳」「歳のせいだから、しかたない」というような考え方もあるかもしれません。しかし、動けなくなることはご本人にも不本意でしょうし、周囲の方にも大きな負担になります。
関節に痛みがあれば、早目に整形外科を受診し、痛みのない生活を目指していただきたいと思います。現在のご自身の状態や治療方法など、気になることや不安なことは、医師と一緒に相談していきましょう。
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