再生医療現場レポート
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PRP療法やAPS療法を受けるにあたって、注意すべきことはありますか。
ヒアルロン酸注射
手術のように悪くなっている部分を取り除いたり、変形した骨の形を整えるという治療ではないことをしっかり認識してほしいと思います。「再生医療」という名前のイメージから、「すり減った軟骨が再生して、元に戻るのではないか」と期待する方もいらっしゃいますが、この治療で軟骨が再生することはありません。あくまで関節内の炎症を抑えることで痛みを軽減することが期待されている治療法です。
また、健康保険適用外の自由診療になるので、治療費はすべて自費になります。費用は医療機関によって異なりますが、比較的高額になることを事前に納得した上で受けてほしいと思います。
こうしたことを受け入れ納得された上であれば、膝の変形がある程度進行してしまっているけれど手術はどうしてもしたくない、あるいは状況的に手術はできないという方にとって、再生医療は新たな治療選択肢になるのではないでしょうか。また、運動療法やヒアルロン酸注射だけでは痛みがあまり軽減できなかった、という方にとっても、検討する価値があると思います。再生医療が受けられない、受けるのが望ましくないケースはありますか。がんを治療中の方、リウマチや膠原病(こうげんびょう)のような全身性の炎症性疾患がある方、血糖値がうまくコントロールできていない糖尿病の方、血液中に細菌などが入っている可能性のある感染症の方などが除外の対象となる場合があります。
再生医療が受けられる場合でも、治療方法を選択するに際し、その方のライフスタイルや活動性などを含めた総合的な判断が必要だと思います。かなり症状が進んでいて、かつ体力的に手術が可能な方であれば、再生医療が受けられても、遠回りせずに手術をした方が良い場合も少なくありません。そのためご自身がどういった状態なのか、どのような治療方法があるのかを医師とよく相談し、ご自身が納得した治療方法を選択していただきたいです。現在、膝の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします。膝の痛みは日常生活に大きな影響をもたらします。痛みを放置していると、どんどん動くのが億劫になり、動かないせいで筋力が落ち、そうするとますます動けなくなるという悪循環に陥ってしまいます。全身を健康に保つためにも、痛みがあればがまんせず、早期に適切な治療を行うことがとても重要だと思います。
膝の痛みを感じ始めるタイミングとしては40代半ばぐらいの方が多いと思います。この段階ではほとんどが軽症なので、運動療法やヒアルロン酸注射で症状が軽快する方が多くいらっしゃいます。しかしさらに年齢を重ねていくと、膝の軟骨がすり減り変形が進行し、保存療法だけでは痛みの軽減の期待が持てなくなるため手術という選択になることもあります。そのため、症状が軽いうちに早めに受診すると、手術をせずに過ごせる可能性が高くなります。膝が痛いと感じたら、がまんしすぎず、早めに専門医を受診してください。
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