再生医療現場レポート
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PRP療法やAPS療法で注意することはありますか?
一般的に治療2~3ヶ月後に痛みが改善しているといわれており、ヒアルロン酸注射と比べると1年後の痛みが有意に改善しているという報告もあります。ただし、治療を受けた全員に効果がでるわけではないので、治療を受けるかどうかは医師と十分に話し合い決めたほうが良いでしょう。治療後、患部に腫れや熱感などが起こることもありますが、冷やすことで自然に治まっていきます。1週間程度は安静にし、それ以降は軽い動きや生活動作に制限はありません。スポーツなどの活動は概ね1ヵ月後以降となりますが、普段どおりの日常生活が送れます。
腱板損傷や変形性膝関節症にPRP療法やAPS療法は期待されているのですか?腱板損傷に対するPRP療法の使用は、全国的にもまだまだ少ないのですが、腱板が「切れてはいないが、変性が起こっている」というような段階でPRP療法を行うと、損傷した組織の修復を促すのに非常に有効ではないかと期待しています。変形性膝関節症の場合、炎症を抑え、痛みを抑制することが期待されています。ただし、痛みが軽減しても骨の変形を治す治療ではありません。そのため、膝にかかる荷重は変わらないので、変形が進行し痛みがでるようであれば手術を検討することになるかもしれません。
腱板損傷や変形性膝関節症だけでなく、股関節(こかんせつ)など他の関節や組織を含め、痛みの改善や損傷した組織の修復が期待されています。このように、手術せずに自分の身体を長く持たせる可能性がある新しい治療方法が加わったということが期待されることではないでしょうか。最後に再生医療を受けたいと考えている患者さんにメッセージをお願いします。整形外科分野での「PRP療法」「APS療法」導入によって、投薬、運動、注射、手術など従来の治療に新たな選択肢が加わり、改善への可能性が広がりました。
手術を受けることに抵抗がある人だけでなく、家族を介護しているなど家庭の事情で手術や入院はできない人や職業柄、治療に時間を費やすのが困難な人、持病などがあり手術を受けることができないといった人にとって、治療の選択肢が増えたということはメリットが大きいのではないでしょうか。ただし治療効果には個人差があり、効果を感じない人もいます。また、治療費は全額自己負担なので、通常よりも高額になることがあります。腱板損傷や変形性膝関節症には、PRP療法やAPS療法だけでなくさまざまな治療法がありますので、専門医に相談しご自身にあった治療法を探していただきたいと思います。まずは、専門医にご相談ください。
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