再生医療現場レポート
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PRP療法やAPS療法で気を付けることはありますか?
PRP療法、APS療法などの再生医療は、厚生労働省が定める再生医療法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)のもとで、届け出が受理された施設でしか治療をすることができません。全国的にみればまだ治療を受けられる施設は限られていますが、法律のもとで行われる治療なので患者さんの安心感につながるのではないでしょうか。治療効果が期待される一方で、治療効果が表れない方もいるなど効果の表れ方は人それぞれです。また費用は健康保険が適用とならない自由診療なので、全額自己負担となり通常よりも高額になります。ただ、最終的には税務署の判断になりますが、医療費控除は受けられると思いますので、詳しくは病院窓口などでご確認ください。
PRP療法やAPS療法で期待されることは何でしょうか?オーバーユースやスポーツ外傷、変形性関節症の治療は、通常、薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法から開始されます。まれに痛みを早く取りたい時にステロイド剤が使用されることがあります。ステロイド剤は早期に強い痛みや炎症を鎮める効果がある反面、強い副作用が生じるデメリットがあります。PRP療法やAPS療法は、ご自身の血液成分を利用するので、ステロイド剤や痛み止めなどの薬剤と比べ副作用やアレルギー反応が起こりにくいということはメリットではないかと思います。
また例えば、現役の野球選手がトミー・ジョン手術を受けた場合、元の良い状態に戻るためには2年もの歳月が必要とされています。しかしPRP療法で効果がみられれば約3ケ月で元の状態に戻れる可能があるのです。
これまでは保存療法で効果がなければ手術しか選択肢がありませんでした。しかしPRP療法やAPS療法は、プロスポーツ選手だけでなく、部活動などの大会までにどうにか間に合わせたい方や、手術に抵抗がある方にとって一度試しても良い治療法ではないかと思います。膝や股関節の痛みやスポーツ外傷などで悩んでいる方へメッセージをお願いいたします。今までは症状を改善するためには、手術しかないのかと諦めていたかもしれません。しかし、手術を勧められていても少しでも迷いがあるのであれば、その前にPRP療法やAPS療法はぜひ受けてもらいたい治療のひとつです。変形性膝・股関節症やオーバーユースだけでなく、半月板損傷や前十字靭帯損傷、股関節唇損傷など手術でしか痛みや機能を改善できないと思われていたものにも可能性がある治療だと思います。治療方法は進歩しており、さまざまな選択肢の中からご自身に適切な治療が選択しやすくなっています。今をどうにかしたいとか、これからをどうしていきたいなどご自身の状況によっては選択肢が違うかもしれません。治療を諦めずに、ぜひ専門医にご相談ください。
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