再生医療現場レポート
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CHAPTER 01保存療法では満足できなかった時に期待されるAPS療法
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CHAPTER 02APS療法後の注意点と、筋力トレーニングを続ける効果
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CHAPTER 03ご自身がしっかり理解し、納得した治療選択を
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APS療法はどの施設でも受けられるのでしょうか?
APS療法は、厚生労働省が定める再生医療法(再生医療の安静性の確保等に関する法律)のもとで、多くの審査を受け安全であると届出が認められた施設でしか治療を行うことができません。また使用するのは、ご自身の血液なので副反応などの有害なことが起こる可能性は低いと言われています。APS自体を関節内に投与する時に生じる感染のリスクは、ヒアルロン酸注射と同程度であり、APS療法を検討される方には安心して治療に臨んでいただくことが出来ると思います。
APS療法を行うことで、軟骨が再生するのでしょうか?APS療法は再生医療法に基づいて行われている治療ですが、再生医療と聞くと、軟骨が元のように戻ったり、損傷した骨が治ったりすると思われたり、そのような印象を受けるかもしれません。しかし、APS療法は再生医療と言われますが、どちらかと言うと自分由来の炎症を抑える成分を膝に入れ、炎症を抑える効果が期待されている治療であり、完全に傷んだ軟骨がどんどん再生する治療法ではありません。
APS療法を受ける前に知っておいたほうが良いことはありますか?APS療法はもともとご自分の血液から抽出される自分由来の成分ですので、アレルギーなどの副作用も少なく自己血輸血に近い安心感があります。ただ患者さんによっては治療後しばらくの間、治療した部分がこわばったり、痛みが生じたりすることもあります。また、変形性膝関節症の進行度によって、全ての方に同じような効果が期待されるというわけではありません。効果を感じたとしても、一生手術を受ける必要がなくなったというわけではなく、また、症状の進行度合いによっては、十分な効果を期待することができないケースも考えられます。さらに、健康保険が適用されない自由診療となっていることもあり、金銭的なご負担も大きいものとなります。治療前のカウンセリングでどの治療方法を選択するのが良いのか、しっかりと担当の先生とご相談いただき、ご自身が納得される治療法を選択いただきたいと思います。
現在、膝の痛みに悩んだり、APS療法を考えたりしている方へメッセージをお願い致しますこれまで投薬、リハビリや関節注射をしても症状の改善が見られなかった場合、手術療法しか方法がありませんでした。APS治療はこれまで膝の痛みが従来の方法では改善しなかった患者さんや、手術になかなか踏み切れなかった患者さんにとって新たな選択肢の一つになると言えると思います。ただし、自費診療でもあり、全ての方に効果があるわけではありませんので、まだまだ敷居が高い治療法かもしれません。
しかし、関節の痛みが継続すると旅行や外出することが辛くなり、家に閉じこもりがちとなってしまいます。最近の研究では、歩くことが認知症を予防する効果があることがわかっています。これから来たる高齢化社会において、健康かつ生きがいを維持する生活を送るためには関節の痛みを減らすことはとても大切です。痛みがあることを諦めたりせずに、専門の先生になんでも相談し、ご自身で納得した治療法を選んでいただきたいと思っています。
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